2008/08/01
院長より
先日、ある国会議員が開催した住民に対する報告会に出席しました。話の主旨は、道路特定財源制度の改革、年金問題に対する政府の対応への批判、後期高齢者医療制度の廃止についての3点でした。これらの点についての私見を述べます。
日本は国別公共事業費で圧倒的な世界一となっている状況であり、現在の財政難の中、道路特定財源の改革の必要性は明らかであり結論は自明でしょう。
年金問題は、最終的には本人の申告に頼るしかなく、消えた部分の復活には時間をかけざるを得ないでしょう。その中、今後の年金システムをどうするかこそが重要課題です。
さて、後期高齢者医療制度については、大変奥が深い問題点が潜んでおり、現在は政治家が民意を探っている状況のように思います。従来は、一言で言えば低負担・高福祉の医療だったと言えます。低負担について驚かれる方もみえると思いますが、日本の高齢者人口比は世界最高レベルであるのに、GDP比医療費は、第22位であり米国の約半分となる程の、低負担なのです。現在、高齢者の増加に伴い医療費がかさむ中、医療費低負担状態では医療機関などが従来の医療レベルを維持することが、困難な状況に陥っています。産科・小児科・救急・麻酔科の崩壊は既に始まっていますが、このままでは医療の基本となる内科も崩壊するのは時間の問題です。後期高齢者医療制度は、大変奥が深い問題であり、十分な国民的議論を要する最重要問題だと思います。私は、現況を作り出したのは自民党の失政の結果だと考えますが、かといって民主党の医療についての考えも不明であり、現在は支持できる政党がありません。医療問題は日本の今後を左右する最重要問題で今後の動向を注視する必要がありますが、何より国民一人一人が「大切なものは何であるか」をよく考えることが必要だと思います。